国際緊急共同研究・調査支援プログラム(J-RAPID)
イスタンブールでTUBITAK&JST “J-RAPID Kadilli Workshop”が開催されました(2024年7月4日更新)
2024年6月10、11日にBoğaziçi University (Boğaziçi Üniversitesi)で、JST―RAPID助成グループ全体が参加したワークショップが開催されました。
(参加者の集合写真)
多分野からの共同研究成果を発表し、お互いの情報・意見交換を実施しました。私たちのグループは、初日の午後からです。
災害研究といっても、領域によって地震に関する学問領域の地震の測定に関する工学、地震が建物に及ぼす影響を見る建築学、私たちのグループのように公衆衛生保健システムに関する研究、中小企業の事業継続性に関する研究など、さまざまな研究の成果発表がありました。
今回の研究では、スコアカードを使用した、地震後の2都市での評価を試みました。この2都市での比較データは、2023年の12月に発表しましたが、地震の被害がより大きかった地域でのスコアの方が、もう一方に比べて低いのではないかという予想には反した結果となりました。これには、その地域で災害前からの地域特性や、その地域での災害に関した経験、災害といっても、隣国での紛争からの避難民が移民として共住している地域も、今回のデータ収集の対象地に入っていました。
結果のハイライト
スコアカードの中に、病院施設など医療提供施設のインフラの評価も含まれています。カフランマラシュ地震では、地域の中核病院が一瞬のうちに被害を受け、7年前に新築となった建物は、すでに使用できなくなりました。このように、まずはどこに建物を建てるのかというアセスメントが重要です。また、建物自体の免震や耐震をどのように進めるのかも同時に考えられなければなりません。座長からは、この点に関しても質問を受けました。
参考:Safe hospitals in emergencies and disasters : structural, non-structural and functional indicators
その他には、災害後一気に増える負傷者や急病者への対応するための要員の動員が困難となることや、メンタル・ヘルスニードに関しての災害前からの準備性を向上してゆくことの必要性が強調されました。
今後、結果を統括し、論文としての発表をしてゆきたいと思っています。
Boğaziçi University (Boğaziçi Üniversitesi)は、別名Bosphoras大学といわれており、大学からは海峡が見渡せる眺望のよい大学です。キャンパス内にある天文台を訪問しました。
天文台を外から
天文台内部
太陽の黒点観察
トルコでのワークショップを実施しました。
10月24日に2月の震災の11県内にある市の一つ、トルコカフラマンマラシュ市、26日にハタイ市にて、関係部署の方に参加いただきました。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023022000586&g=int (時事ドットコム)
それぞれのワークショップでの参加者は、地域自治体で勤務されている公衆衛生にかかわる医師、看護師、ソーシャルワーカーなど、多くの方に参加いただきました。
カフラマンマラシュ市ワークショップ
カフラマランマラシュ市のウェブサイトに広報していただきました。
ハタイ市ワークショップ:ムスタファ・ケマル大学で開催
カフラマンマラシュ県市内の様子
2月6日の地震から8か月経った現地ですが、町の中ではおおよそ瓦礫の除去が進んできている一方で、取り壊しを待っている大きな建物、マンションや病院などがまだ数多く取り残されている区画も多く見受けました。すでに市街地では復興住宅が建設され、11月末から入居が始まっています。この復興住宅は最初の2年間は無料で住め、その後は無利子で購入できるとのことでした。
市街地に建設された復興住宅
ハタイ県内での様子
まだ、取り壊しを待っている建物も多く残る
災害直後の様子(2023年2月)
ハタイ県立病院前に設置されたコンテナ・テント病院(2023年3月)
市街地郊外に建設された復興住宅
2023年11月29日に研究チーム内での報告会を実施しました。
今後は、ワークショップで集められたデータを基に学会発表と共に、現地でのよりよいレジリエントな公衆衛生医療システムへの復興には、具体的などのような項目や計画が必要であるかトルコ側の研究者らと話合ってゆく予定です。
2023年12月4日に、SDMPH(Society for Disaster Medicine and Public Health)の第10回学会(USA, Washington DC)にて
ポスター発表を行いました。リンクでご覧いただけます。
(ポスターのリンク)
https://drive.google.com/file/d/1qYlWT2HHvdcpB8DEHSHQNbmltLORYEIs/view
2023年8月 科学技術振興機構(JST)よりJ-RAPID国際緊急共同研究の助成を受けました。
今後、プロジェクトの進行状況を逐次UPDATEします。